2025年 年末のご挨拶
2025.12.29

2025年 年末のご挨拶

演劇プロデュース集団ドラマシアター

2025年、演劇プロデュース集団ドラマシアターとお付き合いくださいまして、誠にありがとうございます。
立ち上げから3年目の年も、無事に公演を行うことができ、まずはほっとしています。

毎年、年末年始は稽古三昧でしたが、今年は久しぶりに自宅で過ごせそうです。
今は甘酒をすすりながら、パソコンの前に座っています。

こうして立ち止まって振り返ってみると、本当に多くの方々に助けられ、仲間に恵まれてきたのだと実感します。
公演を支えてくださるお客様。
演劇は、観客がいなければ存在しないに等しいものです。本当にありがとうございます。

そして、裏方として制作を支えてくれている皆さん。
ここはドラマシアターにとって、一番大事な大黒柱です。
表に出ることは少ないですが、彼らがいなければ、表現したいことは何一つ形になりません。
みんなで知恵を出し合い、完成した舞台を客席から見たとき、
「こんなにもすごいものができたのか」と、私自身、毎回のように胸を打たれます。

そして、多くの俳優陣。
彼らの存在なくして、ドラマシアターでつくりたかった芝居は完成しませんでした。

今どき「情熱」という言葉もどうかと思いますし、正直、
がんばる、とか、熱くなるとか、
そういう言葉をダサいと思っていた時期もありました。
けれど、そのくらい一生懸命でなければ、作品はつくれない。
そのことを、ようやく理解できた気がしています。

だからこれからも、ドラマシアターは、少し熱くて、少しめんどくさい場所でいこうと思います。
そうでなければ、いい芝居はつくれない。
来年で44歳になりますが、このことに今、気づけてよかったと感じています。

ドラマシアターには、若い俳優が多く集まってくれました。
真剣に演劇がやりたい、その気持ちだけを持って、まっすぐに集まってきてくれた人たちです。

だから私自身も、
一番やっていて楽しく、なおかつやりがいのある台本を選びたい、
という思いが自然と強くなっていきました。

ドラマシアターでは、
書き下ろしで一度きりの上演となる作品や、
今はもう上演されることのない台本と出会う機会にも恵まれてきました。
若く、経験が浅くても、しっかりとした演技ができること。
そして、観客がきちんと感動できること。
その二つを満たす作品であることを、大切にしてきました。

友人や先輩たちに相談をすると、
倉庫や書棚の奥から台本を探し出し、
わざわざ郵送で送ってくれた方もいました。
今はもう上演されることのない作品や、
一度きりで終わった名作と呼ばれる台本に、
そうした形で出会えたこともあります。

昨年は、モダンスイマーズの蓬莱竜太さんの作品を二本上演させていただきました。
また、宅間孝行さんには、ワークショップで使用するために台本を使わせていただきました。

来年公演する、渡辺雄介さんの「JACK」は、少し特殊な形で手元にありました。
私自身も出演していたため台本は持っていたのですが、コピー紙のみで、しかもメモ書きだらけ。
読み返すには、なかなか骨が折れる状態でした。
改めて相談をし、新しいデータの脚本を送ってもらいました。

ドラマシアターを立ち上げて、強く実感していることがあります。
それは、演劇を志す人たちは、立場が変わっても、どこかでつながっている仲間なのだということです。

演劇は、閉ざされた空間になりやすく、情報も外に出づらい世界です。
それでも、その暗がりの中で、確かに情熱を注ぎ続けている人たちがいます。
その炎を消さないように、お互いに手を差し出しながら、演劇は支えられてきたのだと思います。

そんな中で、私自身がドラマシアターで担っている役目があります。
それは、若い俳優たちが、安心して全力を出せる環境を整えることです。
自分が学んだ技術を、必ず次へつなぐこと。
困っている仲間がいたら、稽古場に足を向けて、手を差し伸べること。
その精神も含めて、これからも伝えていきたいと考えています。

未来に向けて、来年は「JACK」の公演を予定しています。
この作品には、暴力的な場面や、不条理な表現が含まれており、
観る側にとっても、つくる側にとっても、決して楽な時間ではありません。
稽古場でも、苦しい瞬間が訪れると思います。

それでもこの作品を選んだのは、
ただやりたいから、という理由だけではありません。

演劇の名のもとに、
他者の尊厳や安全を軽視する価値観が、
これまで黙認されてきた場面もありました。
しかし私は、
表現や才能を理由に、現実の行為が免責されることを、
ドラマシアターでは一切認めません。

脚本の中で描かれる出来事と、
現実の人間関係や行動は、明確に切り分けられるべきです。
安全と尊厳が守られた環境でなければ、
創作は成立しない。

その覚悟と環境を、
来年のドラマシアターでは、
作品を通して示していきたいと考えています。

こんなことを書くと、成功の秘訣のように聞こえるかもしれませんが、
それをやり続けることは、決して簡単なことではありません。
だからこそ、これからも、同じ方向を向ける仲間たちと一緒に、
馬車馬のように、一つひとつ乗り越えていけたらと思っています。

2025年

演劇プロデュース集団dramatheatre 主宰小菅かおり