演出雑記08
2025.11.07

演出助手の仕事は、座組によって違う。

うちの場合は、演出家の秘書みたいなもんで、手の届かないところを一緒にやってもらうという形だ。

私はドラマシアター立ち上げから何時も演出助手をやらないかと声をかけているが、実現したことは今までなかった、なぜなら一番大きいのは金銭的な問題と時間の確保であるからだ。

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稽古場のムードメーカーとして一役買ってくれた尾鷲さん

うちで演出助手をやってもらう場合はほぼ100%朝から晩まで、なんならそれ以外の時間も拘束するからだ。
だから当然やりたいという人は居ないのである。
それは私も理解できるし、無理やり募集はしていない。
けれども毎公演演出助手をやらないか?と声をかけている。

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小さな仕事も、みんなの為にがんばってこなしてくれた。

今回奇跡的に、女優の尾鷲翔子さんが演出助手をやると手を上げてくれた。私は彼女とは池袋のプロントでの面接で出会ったのだが、会って話した時に尾鷲さんは熱心に芝居の話をしてくれた。
私の知らない世界をたくさんしっているし、とても興味深かった。尾鷲さんは当然女優として成功したいだろうし、演技ももっとうまくなりたいだろう、一人前になりたい気持ちも人一倍だったと思う。
私は、この人は演出助手をやってくれそうだな~と思って、声をかけてみた。
そうしたら、やっぱし!豊橋まで来てくれた!
本番2か月前から豊橋へ短期移住し「父と暮せば」の公演のために全てをささげて芝居作りに翻弄してくれた

彼女の情熱がこの公演の支えになったことは間違いない。

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手前が尾鷲さんの机だ、演出の私はスミに追いやられていた。さすがである!

て、ドラマシアターで演出助手ってなにするんですか?という未来の演劇界を担うあなた。ここで少しだけ紹介させていただきたい。

それは私の話相手であるということだ!それは同時に私のノウハウや考えが一番よくわかるお得なポジションでもあるのだ。
しかし、本人次第だったりもする。私には稽古・公演期間中はなんでも話していい、相談してくれていい。
私は「いつか自分も劇団を立ち上げ演劇を続けていきたい」という人を育成していきたいと思っている。
だから私が隣にいる時こそがチャンスで、実践すればいいのだ、遠慮なんかいらない。

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「父と暮せば」という素晴らしい台本の現場に携われるのは貴重な経験だ。演出助手は舞台の裏側や構成、演出術、演技すべてを学ぶ事が出来る。そして隣には演出家がいるのだから、最高だ。

こんなチャンス中々ないと思うんだけどなあ・・・私が演劇をやっている間、はね。